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西陣織の手織り技術を駆使して新調した七条袈裟(京都市北区・盡政)
四国霊場八十八ヵ所札所の寺に保管されていた江戸元禄期から伝わるという七条袈裟を、西陣織の帯地メーカが、現代の手織りの技術を駆使して復元、新調した。
徳川家の三葉葵の紋章や緋色が五百年の伝統を持つ西陣織の技でよみがえった。袈裟は、四国霊場の終着・結願となる第八十八番札所の香川県さぬき市、大窪寺(槙野孝純住職)に保管されていた。いわれなどは分からないという。
織ったのは、京都市北区の「盡政」(岡田徹也社長)。槙野住職からの依頼で、岡田社長(五二)が、当時の織り技術や組織などを分析し、図案設計から糸染め、製織、縫製まで約八ヶ月かけて制作した。新調した袈裟は極細の経糸と緯糸による錦地に本金箔を引いた唐錦で、柄に立体感や光沢感を表現。
高貴な色合いの緋色地に金糸で葵と唐草の紋を精巧に織り込み、縫い取りには引きぞろえと呼ばれる技法も用いた。完成した袈裟はこのほど、大窪寺の納められ、槙野住職は「法要の際に披露できれば」と喜んでいる。和装業界の低迷や織り手の後継者難など産地の環境は厳しいが、岡田社長は「西陣にしかできない手織りの技術がまだまだ生きていることを知ってもらいたい」と話している。
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